【書評】人を嫌うのは別に悪いことなんかじゃない。「ひとを“嫌う”ということ」(中島義道著)

「嫌いな人」というと、あなたは誰の顔が浮かびますか。
今回は「ひとを“嫌う”ということ」(中島義道著)から、3つのことをご紹介します。

1.人を嫌いになることはごく自然なこと
2.「嫌い」の八つの原因
3.大事なのは「嫌い」に向き合うこと

1.人を嫌いになることはごく自然なこと

小学校の頃、「みんな仲良くしましょう」と教えられました。
そのため、人を嫌うことは良くないことではないか…と思っている人は多いと思います。
でも「嫌いな人がいない人」なんていません。おそらく一人も。

著者はこう指摘します。

ひとを嫌うことはごく自然、ひとから嫌われることもごく自然です。(中略)
これらの「嫌い」を解消することはさらさらありません。それは、人生が平板になること無味乾燥になることですから、大層もったいないこと。むしろ、こうしたおびただしい「嫌い」をわれわれの人生を豊かにする塩(味つけ)として有効に活かしてゆく道があるのではないでしょうか……。

確かに多くの人は「嫌うこと」を恥ずかしい感情と考え、隠そうとしています。
しかし、考えてみると嫌うことはごく自然な感情。
恥じたり、恐れたりする必要はないのです。

2.「嫌い」の八つの原因

では、なんで人は「嫌い」という感情を抱いてしまうのでしょうか。
著者は次の八つの原因を指摘します。

一 相手が自分の期待に応えてくれないこと。
二 相手が現在あるいは将来自分に危害(損失)を加える恐れがあること。
三 相手に対する嫉妬。
四 相手に対する軽侮。
五 相手が自分を「軽侮している」という感じがすること。
六 相手が自分を「嫌っている」という感じがすること。
七 相手に対する絶対的無関心。
八 相手に対する生理的・観念的な拒絶反応。

一番多いのは「嫉妬」、「軽侮」あたりでしょうか。
特に嫉妬っていうのは人を嫌う最大の原因じゃないかと思います。
いずれにせよ、嫌いの原因はホンのささいで、理不尽な理由という場合がほとんど。
例えば私はサザンオールスターズが嫌いですが、
その原因は「まわりの全員が好きだと言っているから」。
自分でも理不尽で嫉妬だらけの理由だと自覚しています。

3.大事なのは「嫌い」に向き合うこと

では、どうすればいいのか。

個人によってなんとなく(つまり理由なく)嫌われるのはむしろあたりまえと覚悟して、そのかぎりではでんと居直っていればいいのです。誰も誰をも嫌っていないということは社会が円滑に進むためのフィクションであって、全然「自然」じゃないってことをなぜ理解しないのでしょうか? 不思議でなりません。

大切なのは「嫌い」という感情を否定しないことなんですね。

安全なかぎりでの低空飛行で(だから技術を要するのです)、お互いに嫌いであることを冷静に確認し合えばそれでいい。それがどうしようもないことを認識し合えばそれでいい。「嫌い」がふたりのあいだに消滅する日が来るかもしれないが、それはまったくの偶然。変に期待しないで、淡々としていればいいのです。

ムリに感情を曲げたりせず、嫌いという感情を否定せずに淡々としていること。
嫌いな人を好きになろうと努力したり、
自分を責めたりするなんていうムダなことは、一切やめた方がいいようです。

まとめ

中島先生の本は「人を嫌う」とか「怒る」といったネガティブな感情に、
いつも正面から向き合って考察されているので、多くの気づきが得られます。

感情を押し殺してもろくなことはありません。
ため込んだものはいつか必ず爆発します。
たとえネガティブであろうと、適度に感情をはき出すことは大事です。

スポンサーリンク
レクタングル(大)広告
レクタングル(大)広告

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
レクタングル(大)広告