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【日本映画】幸せになることをかたくなに拒否する女の歪んだラブストーリー。「さよなら渓谷」(大森立嗣監督)

今回はAmazonプライムで見た「さよなら渓谷」をご紹介します。

吉田修一の原作を映画化

原作は「パレード」「悪人」などを手がけた吉田修一。
アマゾン・プライムのページにはこう解説されています。

残酷な事件の被害者と加害者。
15年の時を経て、ふたりは夫婦となった。

テーマがテーマだけに、
全体に重苦しい雰囲気が漂っており、
好き嫌いがはっきりと分かれる作品。

アマゾンのレビューを見ても、
評価の高いものもあれば、
ボロクソにけなしたものもあります。

気合いが入った俳優たちの演技が見所

私はいい作品だと思いました。

その理由は出演した役者さんたちの演技に、
並々ならぬ気合いを感じたため。

まず、真木よう子。
主人公の“かなこ”が乗り移ったようなガリガリな姿。
自分の中の深い「憎しみ」と
気を許すと芽生えそうな「愛情」を
どう処理していいかわからない。
そんな心の揺らぎがスクリーンを通じて伝わってきました。

相手役の大西信満はこれまで知りませんでしたが、
若松孝二監督作品によく出演している俳優さんなんですね。
感情を押し殺した演技は迫力さえ感じ、
見終わった後に存在感が浮き上がってきます。

あと、彼らを追う週刊誌の記者役の大森南朋。
中でも妻の罵声を浴びながら、
風呂場の鏡でたるんだ自らの裸体を見つめる場面の表情は出色。
冴えない記者に成り下がってしまった元花形ラガーマンという、
彼の置かれた状況を象徴するシーンです。

その同僚役の鈴木杏もいいです。
この女優さんはどんどん存在感を増してきていますね。

決しておすすめはしませんが、
じわっと印象に残る映画です。

<予告編>

<映画データ>
◎監督:大森立嗣
◎出演:真木よう子、大西信満、大森南朋、鈴木杏、新井浩文、木下ほうか

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