【書評】会社を辞めたいのに、なかなか辞められない人におすすめ。「好きなようにしてください」(楠木 建著)

今回は「好きなようにしてください―――たった一つの「仕事」の原則」をご紹介します。

筆者は一橋大学大学院の経営学の教授。この人の「戦略読書日記<本質を抉りだす思考のセンス>」はすでに紹介しました。

「会社を辞めたいんだけど、どうしたらいいんだろうか」、「二つの進路の選択肢があってどちらも魅力的なのだけど、どちらに決めればいいんだろう」。そんな読者からのキャリア相談の回答に託し、楠木流仕事論を展開した1冊です。50の相談が紹介されていますが、答は最後の一個をのぞいて全て「好きなようにしてください」。

例えば取り上げられているのは、こんな相談。

ITベンチャーで働いて2年目になる24歳です。いまいる会社は、業界でも有名な「社員の成長」にコミットする会社です。社長も「若いうちはワークライフバランスとか言わず死ぬ気で働け」と公言して憚らず、現に社内もかなりのハードワーク。自分にも1年目から相当な重さの仕事が降ってきており、終電帰りは当たり前、週に1~2回徹夜をします。(中略)現在の会社からの転職を考えています。ですが、「1年そこらの社会経験で転職だなんてうまくいくだろうか」「自分は甘えているのだろうか」「次にやりたいことも特にないし…」といった思いが邪魔をして、踏み出すことができません。

これに対して筆者は、「好きなようにしてください。辞めたければどうぞ辞めてください」と回答後、仕事というのはみずからの自由意志に基づいてするものであり、誰かから頼まれてやるものではないと解説します。この主張はこの本全編にわたって貫かれている非常に重要なポイント。多くの人が仕事は社長だったり、上司だったり、誰かから頼まれてやることだと思い込んでいます。そのため真面目で義理堅い人ほど、辞めたくても辞められずズルズルと仕事を続けてしまう。でも憲法に「職業選択の自由」が謳われているように、その仕事をやる、やらないは個人の自由意志。やりたくないことはムリにやる必要はないのだと。

いまのあなたの勤めているハードワークな会社は、「こういうことが自分はやりたいんだ」と言う人にとっては、素晴らしい会社です。若いうちはストイックに自分を鍛えよう、死ぬ気で働いて成長しよう言う人にしてみれば、自分の自由意志が会社とジャストミート。大喜びで徹夜するでしょう。(中略)自由であるということ。それは人によって何が「よい」のかが異なるということです。それをわれわれは「好き嫌い」と呼んでいるのです。あなたが暗黙のうちに自分の中に持っている「自分はこういうことがやりたい」という意志と、いまの会社は明らかにミスマッチを起こしている。そうである以上、この会社で頑張ったところで、あなたにとってあまりいいことはないでしょう。「1年やそこらの社会経験で」などと思わずに、一刻も早く辞めたほうがいい。

この意見には賛成です。以上のような認識を多くの人がしっかりと持てば、やりたくもない仕事を続け、精神を壊してしまう人は随分減るはずです。

そのほかにも「自分以外の誰かのためにやるのが仕事。自分のためにやる活動はすべて趣味」「稼いでくるやつが一番偉い。一番頼りになる。これが古今東西変わらないビジネスの現実」「計画なんて立てたところで、できないものはできない。いくら努力しても、うまくいかないことがある。それなのに長期的な計画を自分の仕事に対して持つなんて、世の中と人間の本性に反している」といった仕事の本質をついた言葉がバシバシ出てきます。

会社を辞めたいのに踏ん切りがつかない人、自分はどんな仕事をやるべきだろうかと悩んでいる人におすすめです。

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