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【日本映画】「横道世之介」(沖田修一監督)キラキラした青春映画なのに、こんなに切ない気持になるなんて。

この映画で、悲しい出来事が直接描かれることはありません。スクリーンで展開されるのは希望を胸に長崎から上京してきた一人の大学生のキラキラ輝く恋愛ストーリー。しかしこれほど悲しく、せつない物語だとは…。映画「横道世之介」(沖田修一監督)を見ました。

吉田修一の同名小説が原作

実は映画を見終わってから知ったのですが、原作は吉田修一の同名小説。吉田修一はある時期集中して読んだ覚えがあります。「パレード」「パークライフ」「日曜日たち」「熱帯魚」「女たちは二度遊ぶ」など、自分では結構読んでいたつもりだったのに、この作品は全く知りませんでした。時間があって映画を見ようと、Amazonプライムビデオのサイトのレコメンドをいくつか見て、たまたま目についたから見てみようかと思っただけ。主演の高良健吾と吉高由里子は特に嫌いではないし、というか、どちらかというと好きな役者さんだし、タイトルから内容は全くわからないし、つまらなかったら途中で見るのをやめればいいや…といったぐらいの気持で見始めました。

一人の青年の青春ストーリー

舞台は1980年代後半の東京。主人公・横道世之介(高良健吾)が、大学入学を機に長崎から上京してきたシーンから始まります。その後展開されるのは、初めての一人暮らし、入学式、サークル勧誘・入部、バイト開始、といった本当によくある青春ストーリー。そして世之介にも祥子(吉高由里子)という彼女ができ、二人はどうなるんだろうなぁ…と思いながら物語は進んでいきます。それが1時間40分を過ぎたあたりに挿入されたたった一つのシーンのせいで、その後の見方がガラッと変わってします。いや、物語のトーンが変わるのではありません。それまでと同じトーンで付き合い出した若い二人の恋愛ストーリーは進んでいきます。でもワンシーン、ワンシーンが限りなくいとおしくて、せつなくて、そして悲しくなってしまうのです。

横須賀・ドブ板通りのハンバーガーショップ

世之介と祥子が横須賀・ドブ板通りのハンバーガーショップで話すシーンは良かったですね。ハンバーガーを食べながら店中に響き渡るほど大笑いする場面。吉高由里子の魅力が全開でした。あの店、「ツナミ」の斜め向かいにある「どぶ板食堂 Perry」だな。うしろに入り込むスペースがなくて誰も使わないペリーの顔ハメ看板がある店。もう一つ、世之介が祥子の家に招かれたくだりも良かったな。カーテンのシーン。世之介がスキーで骨折した祥子を見舞いに行った場面なんて思い出しただけでウルッと来てしまいます。池松壮亮、伊藤歩、綾野剛といった脇を固める役者さんも良かった。一日一日を大切に生きる。そんな気持になった映画でした。

<予告編>

<吉田修一原作>

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<沖田修一監督作品>

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<高良健吾・吉高由里子主演>

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