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【日本映画】「ロマンス」(タナダユキ監督)大島優子ファンじゃなくても十分楽しめる。ロマンスカーのアテンダントと中年男のロードムービー。

人気アイドルを主演に迎えたいわゆるアイドル映画。学芸会レベルの演技に、こりゃ、ファンじゃなきゃ見てられないなといったハズレ作品も数多くありますが、薬師丸ひろ子の「セーラー服と機関銃」(相米慎二監督/1981年)や原田知世の「時をかける少女」(大林宣彦監督/1983年)など、中には名作と言われる当たり作品もあります。で、この「ロマンス」は当たり。ファンじゃなくても十分に楽しめます。

タナダユキ監督と言えば「百万円と苦虫女」。蒼井優の好演もあり、20代の独身女性の心理描写がうまいという印象でした。そのタナダ監督が7年ぶりのオリジナル作品として制作したのがこの映画。主演は元AKB48の大島優子。冒頭ではアイドルと書きましたが、この映画の前に出た「紙の月」で第38回日本アカデミー賞 優秀助演女優賞などを受賞し、ある程度役者として評価されているんですね。

ノツログ

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彼女が演じるのは新宿・箱根間を往復する特急ロマンスカーのアテンダント・北條鉢子。しっかりモノで仕事ではいつもトップクラスの売上成績を収めるデキる女。しかし、恋人は泊まりに来ては金をせびるようなダメ男。そして子供の頃に両親が離婚し、その後男をとっかえひっかえする母親のすさんだ生活を見て育ったせいで、就職以来母親とは没交渉の状況とプラベートでは何かと問題を抱えています。そんな鉢子はある日勤務中にワゴンから万引きしようとした中年男・桜庭(大倉孝二)をつかまえ、箱根駅で駅員に差し出します。しかし口から出任せで無罪放免となった桜庭とホームで図らずも再び顔を合わせてしまうことに。しつこく話しかけてくる桜庭を最初は無視していた鉢子ですが、ひょんなことから二人の珍道中が始まります。

小田原城、仙石原、芦ノ湖など箱根の名所を訪れながらストーリーが進行するロードムービー。大島優子とうざったいぐらい多弁な中年男を演じる大倉孝二の掛け合いが絶妙です。最初はかたくなだった鉢子の心が、かつて両親と楽しい旅行をした思い出の箱根を一緒に巡っていくうちに、ゆっくりゆっくり溶けていく様子が見所。そして一番印象に残ったのがやむを得ず入ったラブホテルでのシーンです。桜庭に押し倒された鉢子の表情、そして心の声がとてもリアル。このシーンのことを大島優子はサンスポのインタビューで「自分でも印象的でしたね。なんかもうあきらめていて、どこか宙を見ている感じで…こういう表情するんだ、と自分で思いました(笑)」と語っています。この場面、タナダ監督が大島優子をイメージして書いたという脚本と、それを受けてしっかりと演じきった大島優子の演技が光ります。

そして二人の奇妙な1日だけの旅は終わり、鉢子と桜庭もそれぞれ自分の日常へと戻っていきます。その終わり方があっけなく、だからこそ見終わって爽やかな印象が残った映画でした。

<私の評価(5段階)>
★★★★☆ 4(気に入った!)

<予告編>

<映画データ>
◎監督:タナダユキ
◎出演:大島優子、大倉孝二、野嵜好美、窪田正孝、西牟田恵
◎上映時間:1時間37分

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