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【日本映画】映画「深夜食堂」(松岡錠司監督)自分もあのカウンターの片隅に座りたい!と思わせるストーリー。

「深夜食堂」は安倍夜郎の同名コミックを原作とした人気テレビドラマ。私はアマゾンプライムで昨年ドラマを見て「深夜食堂」の世界に引き込まれ、一気に三部まで見てしまいました。先日、ポツンと時間ができて、そう言えばまだ映画版を見ていなかったなと思って見たのが2015年1月31日に公開されたこの映画第一弾。

ノツログ

今回はプライム・ビデオで見た深夜食堂をご紹介します。 原作は安倍夜郎の同名コミック。 深夜0時に開店する繁華街の片隅にあ…

ドラマのストーリーはこんな感じです。

舞台は繁華街の片隅にある小さな食堂。深夜0時に開店。メニューは豚汁定食だけ。そんな一風かわったお店には、ヤクザ者、売れない役者、雀荘帰りのサラリーマン、OL3人組、ストリッパー、新聞配達青年、わけありアイドル・・・さまざまな人が集ってくる。客の楽しみは、他愛のない会話と、そして、「勝手に注文してくれりゃあ、出来るもんなら作るよ」というマスターの料理。赤いウインナー、甘い玉子焼き、猫まんま・・・リクエストされるのは、特別なことは何もないのに、何だか無性に食べたくなるものばかり。でも、そこには様々なストーリーがあって・・・ 繁華街の片隅の、深夜しかやっていない小さなめしやで繰り広げられる、ユーモラスで時にビターな人間模様。

いつもの常連も登場しながら、3つのストーリーが進行

映画はオムニバス方式の3部構成。ストリッパーのマリリン(安藤玉恵)、地回りヤクザの竜ちゃん(松重豊)とその舎弟のゲン(山中崇)、ベテラン・ゲイの小寿々さん(綾田俊樹)、地元の遊び人で人情派の忠さん(不破万作)、OL3人組(須藤理彩、小林麻子、吉本菜穂子)、フリーカメラマンの小道(宇野祥平)など、ドラマでお馴染みの常連も登場しながら、3つの物語が繰り広げられます。あっ、朝ドラ「べっぴんさん」の明美ちゃん(谷村美月)も出てました。

導入部となる第一部は、パトロンを亡くした水商売風の女性(高岡早紀)と若い常連客(柄本時生)が主人公。この食堂で偶然隣りあったのがきっかけで仲良くなって…という、常連が集う居酒屋では良くあるストーリー。私も20代前半から15年ぐらい通っていた五反田の居酒屋で同様に常連客の男女がくっついて…というパターンを何度か見たことがあります。その場合、二人がうまくいっている時は一緒に店に来て他の常連客と楽しく飲んでという感じでいいんですが、うまくいかなくなるとパタッと二人とも来なくなってそれっきりということが多いんですよね。今どうしてるかなぁ、あの人たち…。映画は冒頭からテンポ良く進み、すっと引き込まれます。高岡早紀が良かったですね。特に最後にニヤッと笑った際の表情。口元からやや後退気味の歯茎がのぞき、年齢を重ねた中年女のしたたかさとか寂しさ、いやらしさ、諦め、開き直りみたいなものが全て凝縮されていました。

第二部では多部未華子が大熱演。うまい役者さんですね。ただ何日間も風呂に入っていない設定なのに髪がサラサラツヤツヤなのが気になりました。演技にはこだわるのにそこは手を抜くか、みたいな。シャンプーメーカーとの契約でもあったのかもしれませんが良かっただけに残念。映画の役作りで髪の毛がベタついていても女優としての市場価値は下がらないと思うのですが。また、普段は標準語なのに我を忘れると突然方言をしゃべり出すんですが、ありゃちょっとオーバーですよ。私自身地方出身者で東京で40年近く普通に生活をしていますが、いくら我を忘れたからといって人前であんなベタベタの方言を話す人って見たことないなぁ(関西弁(大阪弁)を除く)。

第三部は震災後の福島から好きになったボランティア女性(菊池亜希子)を追って上京してきた中年男(筒井道隆)の物語。ここでも気になったのが方言。二部の時に感じた違和感を引きずってイマイチストーリーに集中できませんでした。見る人にわかりやすくするためってこともあるんでしょうけど、地方在住者・出身者はいついかなる時も方言をしゃべると考えるのはやめてほしい。この映画で常連の刑事コンビのやり取りの中で光石研演じる刑事が「地方出身者をひとくくりにするお前の中央集権的な無意識、それ良くないよ」というセリフがあるんですが、まさにその通り。…などと文句を書き連ねましたが、「深夜食堂」やっぱり好きだなぁ。あのカウンターの片隅に座りたい。そして常連になりたい。であそこで一杯飲んで勢いをつけた後、バー「タチアナ」か「雨のアムステルダム」でもう一杯やりたいと思わせる物語です。

<私の評価(5段階)>
★★★★☆ 4(気に入った!)

<予告編>

<映画データ>
◎監督:松岡錠司
◎出演:小林薫、高岡早紀、柄本時生、多部未華子、余貴美子、筒井道隆、菊池亜希子、田中裕子、オダギリジョー
◎上映時間:1時間59分

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