【酒場エッセイ】東京・日野の立ち飲み屋で、焼き物は塩が通だと思っていた昔を思い出す。

8月もあと数日で終わりというある日。JR日野駅の近くで1軒目の立ち飲み屋を出たのは午後5時過ぎ。外はまだ明るくて、日はやや傾いてきたものの、しっかりとした夏の光がアスファルトに照りつけている。最高気温32度と今日も厳しい残暑となったが、この時間になると暑さもようやく和らいできた。せっかくなんで軽くもう一軒寄って行こう。

向かったのは「まいど 日野店」。日野駅から甲州街道を立川方面に1分ちょい歩いた日野駅前東交差点の角。「串 まいど」と書かれた黄色とオレンジ色の看板にあかりが灯っていて、近づくにつれて焼鳥の香ばしい香りが強くなってくる。店の道路沿いは焼鳥のテイクアウトコーナーになっていて、ショーケースにはズラリと焼きたての焼き物。その左にドアがあり、午後5時から店内で立ち飲みできるようだ。

開けっぱなしにしてあったドアから入る。「いらっしゃいませ~」と出迎えてくれる女性店員さん。店内は入口からすぐの左の壁際にテーブル風の立ち飲みカウンターが二つ。テイクアウトコーナー正面に焼き台。その後ろが厨房になっており、それを囲むように8人ぐらいが立ち飲みできるL字型のカウンターがある。先客はテーブル風カウンターに30代の男女一組、カウンターに70代の男性が一人の計三人。壁にはメニューの短冊やアサヒスーパードライとかブラックニッカハイボール、ホッピーなどお酒関係のポスターがびっしり。その間に「食べ物、飲み物の持ち込みはお断りいたします。」とか「当店での御飲食は二時間以内にお願い致します。」という注意書きも。

L字型カウンターの角付近にスペースを確保すると、すぐに紙おしぼりを持って来てくれた店員さんに「中生(300円)お願いします」とオーダー。そしてつまみを選ぶために壁に貼ってあるメニューを眺める。…なるほど…「タン」「ハツ」「砂肝」「レバー」「皮」「つくね」「ひざナンコツ」「白」「カシラ」「ももネギ付」「ももにんにく」「鳥なんこつ」などが全て120円。手頃な値段だなぁ。その他、「トマト」「冷奴」などの一品料理もある(各220円)。ほどなく生が到着。そのタイミングで「ハツ、カシラ、砂肝を1本ずつお願いします」と注文する。「タレ?塩?どうされますか」「う~ん、タレでお願いします」。30代の頃だったか「焼き物は塩を頼むのがツウ」みたいな俗説が流行り、一時期はかたくなに塩しか頼まなかったことがあった。今思うと恥ずかしい。あれは何だったんだろう。タレってお店それぞれの味が楽しめていいんだけどなぁ。

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さて、まずは生ビールをゴクリ。ふぅ~。一軒目の最初の一口にはかなわないけど、やっぱり一口目は美味いなぁ。一息ついて店内を見渡すと焼台には焼き担当のお兄さんと接客・精算などを担当する女性店員さん。その他店内を専門に担当する女性店員さんが一人。お隣の70代ぐらいの男性はチェック柄の白の半袖シャツにベージュのチノパン姿。迷彩柄のキャップをつばを後ろにしてかぶっているのがちょいワル風。淡々とグラスを口に運んでおられる。きっとほぼ毎日ここに来る常連さんなんだろうなぁ。「お待たせしました~」。焼き物が届く。よし来たぞ!

全体にサッと七味を振りかけ、まずは砂肝から。コリッとした食感。タレは甘辛で、これはビールのペースが加速するやつだ。ほどなく飲み干し、さて酎ハイ(210円)に移行しよう。さっきの店は酎ハイがなかったので白ホッピーを頼んだが、目の前にあったドリンクメニューを見たら、この店には嬉しいことに酎ハイがあった。「すいません。酎ハイお願いします」。

5時半を過ぎた辺りから仕事終わりといった感じの男性が次々と入店してくる。年齢は30代から60代まで多彩。なるほど、こういう気軽にサクッと飲める店が勤務地の最寄駅にあったら毎日でも寄り道したくなるよなぁ。よし、もう一杯飲もう。「すいません。酎ハイのおかわりお願いします。あとマカロニサラダ(220円)も!」。

カウンターはいつの間にかいっぱいになっている。でも全員一人客なのでガヤガヤしていなくていい感じの雰囲気。あぁ、落ち付く。3杯目の酎ハイを飲み干したところでスマホを見ると時刻はそろそろ午後6時。今日はこれぐらいにしておこうか。「ごちそうさまでした。」と声をかけると店員さんがやって来て精算。「ありがとうございました。」という声に送られ店を後にする。

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外に出ると、空はようやく暗くなってきた。一軒目に行った店といい、この店といい、日野って安くていい感じの立ち飲み屋があるなぁ。嬉しい発見。今日仕事が終わって午後4時過ぎにバスでJR日野駅まで帰ってきた時は、そのままJRで隣駅の立川まで行って飲み屋を探そうかとも思っていた。でもそれをやめて日野駅周辺の店を探してみて正解だった…。そんなことを考えながら歩いていると、古民家風のJR日野駅の駅舎が見えてくる。横断歩道の向こうには一日の仕事を終え帰路につく人たち。信号待ちをしていたら、一瞬、風が吹き抜けた。今年の夏も着実に終わりが近づいている。

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