久々にインパクトある映画に出会いました。園子温監督の冷たい熱帯魚(2011年公開)。
Amazonプライムがスタートしてからコンスタントに週5本ぐらいのペースで映画を見ていますが、ここまでガツンと来たのは初めてです。
あらすじは次の通り。
熱帯魚店を営んでいる社本と妻の関係はすでに冷え切っており、家庭は不協和音を奏でていた。ある日、彼は人当たりが良く面倒見のいい同業者の村田と知り合い、やがて親しく付き合うようになる。だが、実は村田こそが周りの人間の命を奪う連続殺人犯だと社本が気付いたときはすでに遅く、取り返しのつかない状況に陥っていた。
万人におすすめできる映画じゃありません。
悪魔は笑顔で近寄ってくる。でんでんが演じる村田がまさにそう。外面は誰が見てもいい人。それが悪魔に変わる瞬間は、まさに“豹変”という言葉がピッタリです。コワモテのヤクザよりも、本当に怖いのは仏のような顔をしたヤクザだと言われるのは本当ですね。尼崎市の連続変死・行方不明事件や北九州監禁殺人事件なども、被害者はこういった感じで巻き込まれていったのですかね。
この映画のベースとなったのは1993年の埼玉愛犬家殺人事件らしいですが、舞台をペットショップではなくて熱帯魚ショップに変えたことで映像的にもストーリー的にもグンと良くなっています。ゆらゆらと優雅に泳ぐアロワナや水槽の放つ緑がかった光はあくまで怪しく美しく、そして生きた金魚を血をしたたらせながら食いちぎるピラニアはこの作品を象徴しています。
Wikipediaによると、監督は「もし再編集することが可能なら、でんでん演じる男が吹越満演じる男に刺殺され、黒沢あすかが笑っているくだりでエンドロール、という形にしたいと、2012年『映画秘宝』7月号の『恋の罪』DVD発売に際したインタビューで語った。」ということですが、最後25分は絶対あった方がいい。あの25分で作品の凄みが10倍も100倍もアップしています。暴力、セックス、そして目を背けたくなるようなスプラッタシーンと、すべての人におすすめできる内容ではないですが、文句なしの傑作です。
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<映画データ>
◎監督:園子温
◎主演:吹越満、でんでん
◎助演俳優:黒沢あすか、神楽坂恵、梶原ひかり、渡辺哲
<予告編>