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【日本映画】人は「最悪」と言うかもしれないが私は「最高」だった!「ディストラクション・ベイビーズ」(真利子哲也監督)

今回は「ディストラクション・ベイビーズ」(真利子哲也監督)をご紹介します。

久々にガツン!と来る映画を見ました。

10代の若者たちがひたすらケンカに明け暮れる…。
ネットなどを見て、そんな映画だと思っていました。
イメージしていたのは、
クールでケンカが強い主人公が愛する女性を守るために悪に立ち向かう話とか、
社会や境遇に不満を持つ若者たちがケンカをしながら成長していく物語、
あるいはストリートファイトを繰り返す無軌道な若者たちのストーリー。

でもこの映画、そんなヤワな映画じゃありませんでした。

2時間近い本編の8割以上が殴る、蹴るのシーン。
柳楽優弥扮する主人公がケンカする理由はただ「楽しい」から。
無差別に通行人に噛みつく狂犬のように
意味もなく通りかかった人に殴りかかり、
ゾンビのように倒れても倒れてもまた立ち上がる。
そのギラギラした瞳には
殴り合いを純粋に楽しんでいる無邪気さえ宿っています。
これまで“優男”のイメージが強かった柳楽優弥ですが、
この映画で完全に過去のキャラをぶち壊し、
俳優として次のステージに進みましたね。
ほとんどセリフはないのに圧倒的な存在感を放っています。

彼に絡むのが菅田将暉演じるもう一人の若者。
もともと友人が不良に絡まれてもすぐ助けに入るのではなく、
後ろから様子をじっと見ていて、
敵が立ち去ってから「大丈夫だった?」と駆け寄るようなヘタレ。
それがふとしたことから狂犬と知り合い、
虎の威を借る狐のように、
自分も無敵になったかのように勘違いして狂っていきます。

それに彼らが盗んだ車にたまたま乗っていた
キャバ嬢(小松菜奈)が加わって、
ラストへと向かって加速度をつけてつき進んで行きます。

人間的な心の交流とか、心温まるエピソードなんてかけらもありません。
あまっちょろいロマンスや説教くさい教訓も一切なし。
あるのはただただ目を背けたくなる暴力と流血シーンだけ。

おそらく見た人の7割は「最悪」「不快」と言うでしょう。
しかし私は「最高」でした。
監督はよくぞここまで振り切った映画を作り上げた!
ここ数年間見た映画の中で文句なく最高ランクの作品です。

<私の評価(5段階)>
★★★★★(5:最高!)

<予告編>

<映画データ>
◎監督:真利子哲也
◎出演:柳楽優弥、菅田将暉、小松菜奈
◎上映時間:108分

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